おうちでそばを楽しみたい(前編)
お家でおいしいそばが食べたい。
日に日に暑さの増してくるこの時期、ご家庭の食卓にも冷たい麺類の出番が徐々に増えてきているのではないでしょうか。
冷水でしめた麺の、コシのある歯ごたえとさわやかな喉越し。
あまり食欲の湧かないようなときでも冷たい麺類ならさっぱりツルツルといただけるのがうれしいですよね。
冷たい麺類といえば、そうめんをはじめ、ひやむぎ、冷やし中華、その他近年ではつけ麺なども定番になりましたが、そんな中、今回はざるそばについてクローズアップしていきます。
お家でおいしいそばが食べたい
ひとくちにざるそばといっても、ご家庭でいただくそばはもちろん、お店でいただくそばも気軽な駅そばからせいろ一枚でいいお値段のする高級店までさまざまで、加えて各地域ごとの特色もこれまた実に多様な種類やそば文化があります。
それゆえにそれぞれに定義や好みは違えど、そば好きにとって共通するのはズバリ“おいしいざるそばが食べたい!”ではないかと思います。
しかもそれがお家でささっと気軽に楽しめるなら、なおいい。
そこで今回は味わいや手軽さなど多方面で吟味しつつ、理想の“家そば”を求めてあれこれ模索していきます。
乾麺のそば
まず最初は手軽さの観点から、賞味期限が長く保存しておくにも便利で近年クオリティが上がっていると聞く市販の乾麺タイプのそばから検証していきます。
スーパーの乾麺コーナーには価格、量、製法ともに種類豊富に乾麺のそばが並んでいました。
蕎麦粉のみを使った十割そばのほかに八割そばなど蕎麦粉以外の原料も含まれているもの、山いもやお茶などを練り込んだものなど、種類によって味わいや風味、食感も大きく異なるようです。
今回は普段よく使っているものやメディアで評判のものなど比較的手に入りやすい、いわゆるシンプルな干しそばから3種類をピックアップさせてもらいました。
写真左から「信州田舎そば 小諸新七兵衛(信州ほしの株式会社)」「元祖 十割そば(株式会社山本かじの)」「蕎麦通の更科八割(株式会社おびなた)」で、いずれも長野県で製造された干しそばです。
そばつゆはこれまた市販の2倍希釈タイプのめんつゆを使用しました。
薬味はシンプルにねぎとわさびでいただきます。
それぞれの商品に記載されているレシピに従ってたっぷりの水(マルチピュア浄水器を使用)を使って時間を計って正確に茹でていきます。
茹で上がったら手早く流水でぬめりを取ります。
工程に必要とあらばさらに氷水でそばをしめていきます。
茹でる際も、茹で上がりの仕上げにもたくさん水を使用しますが、浄水器だと量や成分を気にせず安心してたくさん使えるのがうれしいです。
ではさっそく茹でたてをそれぞれいただいていきます。
信州田舎そば 小諸新七兵衛
記載された茹で時間 4分から5分(今回は4分30秒)
こちらは以前テレビで紹介されて評判となった際に一度いただいたことがありまして、安価でしっかりおいしかった記憶がありますが、茹で時間を厳密にそばつゆの条件を揃えてあらためていただいてみます。
ひとくち目で、やっぱりしっかりおいしい。
歯応えから乾麺であることはわかるけれど、それはしっかりとしたコシにも感じます。
喉越しもツルッとしていて気持ちよく、そばの風味も適度に感じられて申し分なし、で評価が高いのもうなづけます。
手軽だし、お家ざるそばはこれで十分なのかも、と今回の企画が危ぶまれるほどいきなりの好印象でした。
株式会社山本かじの 元祖 十割そば
記載された茹で時間 6分 + 蒸らし2分
厳選された蕎麦粉のみでつくられた十割蕎麦で、それゆえ乾麺でありながら茹でたあとの湯でそば湯も楽しめるそうです。
何度かいただいたことがありますが、これも今回記載されたレシピに忠実に茹で上げていきます。
6分と少し長めの茹で時間に、2分の蒸らし時間があるのも特徴ですが、蒸らしといっても火を止めてそのまま待つだけなので手間というほどではありませんでした。
あらためてこれはおいしい!さすがの十割、そばの風味がとても豊かです。
コシもしっかりあるし、口溶けもよく、もはや乾麺であることを疑うクオリティーです。
蕎麦粉の品質が安定していなかった頃は十割蕎麦よりも小麦を二割加えた八割蕎麦の方を好む蕎麦通の方も多かったそうですが、これはのどごしもよく安定した蕎麦粉の品質を感じました。
そばがらとともに挽いた濃い色や風味は好みですが、そばの風味をしっかり感じたい方におすすめです。
株式会社おびなた 蕎麦通の更科八割
記載された茹で時間3分
更科そばということで、一番粉と呼ばれる白い蕎麦粉を使った白いそばで高級感が漂います。
非常に細く白いので茹で上がりはそうめんのようにも見えましたが、冷水でしっかりしめるとグッとそばのしっかりとしたコシが出ます。
口当たりは歯ざわりがよくとてもさわやかで、そばの風味も上品に感じます。
なんというか洗練されたそばといった印象で、他の二つとは明らかに方向性が違いますがこれはこれでとてもおいしい。
生そばとはまた違う干しそばならではのそば粉感があって、これでなくちゃ、という方がいそうな独自の味わいでした。
乾麺にあらためて感嘆
三種類の乾麺タイプの蕎麦を順にいただいてみて、どれもそのクオリティーにあらためて感嘆しました。
レシピ通りの茹で時間を守って、しっかり流水でぬめりを取り氷水でしめるとどれもしっかりとコシを感じることができました。
手軽さとのトレードオフといった概念を越えるしっかりとしたおいしさで、なおかつ保存もきくとなると、常備や普段使いはやはり今年も乾麺のそばにお世話になりそうかも、と個人的には早くも思いつつ、このあといただく生麺タイプと手打ちそばにも期待が膨らんできます。
乾麺は製品の種類も豊富で好みのタイプを自由に選べるので、今回選んだもの以外の乾麺もいろいろ試してたのしみたいと感じました。
次回後編は生そばタイプ、そして手打ちのそばをいただいていきます。