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料理

芋煮、または芋の子、もしくはいもっ子、いもたき

2021.01.22

みなさんは“芋煮(いもに)”をご存知でしょうか。

ご存知なかったとしても、その名前から想像するにおそらくは何がしかの芋を煮たもの、をイメージされたのではないかと思います。

おおまかにはそういったものなのですが、これまでの人生で何度か食べる機会に恵まれた私にとってはそれに”あの素朴であたたまる、なんだかやたらとおいしいもの“という補足が加わります。

よくよくご存知の芋煮愛好家の方にとってみれば、言わずもがな我らがソウルフードについて何を今さら、とすら思っているかもしれません。
 
“芋煮”とは里芋を主材料として芋や根菜などを肉と一緒に大鍋で煮た料理です。

地域によって“芋の子”“いもっ子”“いもたき”などとも呼ばれ、山形県や岩手県、福島県をはじめとする東北地方を中心に、島根県、愛媛県など日本各地で昔から愛されてきました。

足の早い里芋の消費の意味も手伝ってか、秋の収穫時期などにはこの芋煮の鍋を皆で寄り合って楽しむ“芋煮会”なるものが各地で開催され、学校や地域でこれに慣れ親しんできた方にとってこの“芋煮”はごく当たり前の郷土の味となっているようです。

芋煮との出会い


私自身は東京の生まれで、大学に入るまでこの“芋煮”や“芋煮会”といった文化を全く知らず、その学生時代に行った大人数でのキャンプで、はじめて出会った芋煮に大変感動した記憶があります。

東北出身の仲間たちがふるまってくれた芋煮の鍋を囲むあたたかさと、見た目の印象を遥かに越えた親しみやすいおいしさに、東北人のアイデンティティ、やさしさや柔らかさの源流すら垣間見れたような気分になったことを覚えています。

その時からにわかに“芋煮”ファンにはなったものの、これまでは地域の催し物など限られた場でたまたま見つけては、ただそれをせっせといただくのみでした。

学生時代のキャンプでいただいたあのあたたかくておいしかった芋煮を、いつでも思ったときに家でもいただきたい!ということで今回この“芋煮”を、当時の遠い記憶を辿りながらネットの情報でも補完しつつ再現してみることにしました。

芋煮をつくってみる

材料(写真は5、6人前)


里芋、ごぼう、こんにゃく、厚揚げ、生しいたけ、しめじ、牛肉切り落とし、ねぎ
酒、みりん、砂糖、醤油、出汁


ちなみに写真には大根も写ってしまっていますが、これはいざ下ごしらえという段になってもう一度ネットであれこれとレシピを確認し、悩んだ末に今回は使わないことにしました。

同様に厚揚げも使われていない地域が多かったですが、おぼろげな私の記憶の中の“芋煮”には厚揚げが入っていたような気がしたので、これについては使うことにしました。

具材に限らず芋煮は、それぞれの地域によって作り方やその味付けにもさまざまな特色があります。今回つくるのは醤油ベースの芋煮で甘めの味付けがポイントとなります。

まずは下ごしらえから。

出汁は多めに作っておきます。今回は手軽に出汁パックを使用しました。

里芋は皮を剥いて一口大に切り、塩でもみ洗いして余計なぬめりを取ります。

ごぼうは笹掻きに。

これらを下茹でしたこんにゃくと一緒に、作っておいた多めの出汁と適量の酒で煮ていきます。

途中、出てくるアクを大まかに除いておきます。
アクはこのあとお肉などからも出るのでその際も同様に取り除きます。

竹串などで確認して里芋がやわらかくなったらみりん、砂糖 、醤油を入れ、牛肉の切り落とし、薄切りにした厚揚げを加えさらに煮ます。みりん、砂糖 、醤油はあくまでお好みの目分量ですが、最終的にたっぷりの甘辛い煮汁と一緒にいただくので、味見してみてちょっと濃いめの汁物くらいの濃さに調整しておきます。

最後に斜めに薄切りしたネギをどっさり投入して、これが少ししんなりしてきたら完成です。

とてもおいしそう。

さっそくいただいてみましたが、味の染みたホクホクの里芋、他の具材やその具材から出た旨味の溶け込んだ甘辛くやさしい汁、まさに思い描いていたあの懐かしの芋煮でした。くたくたのねぎがまたいい仕事をしてくれていて、箸が止まらなくなりました。

大鍋でたくさんつくるのもおいしさのコツとのことで、それでも食べきれなかったぶんを翌日もいただきましたが、これがさらに味が染みて甘くしあわせなお味になってました。

他の具材や鶏肉、豚肉を使ったり、味噌仕立てにしてみるのもおいしそうです。

長く愛されてきただけあって、それぞれの地域ごとにもっといろいろなコツだったり作法だったりもおそらくあると思いますが、それでもこれだけシンプルに、こんなにおいしくできるあったか料理を、野外や秋の季節に限定してしまうのはもったいないと思いました。

まだまだ寒いこの季節、他の具材や鶏肉、豚肉を使ったり、味噌仕立てにしてみたりといろいろな芋煮を楽しんでみようと思います。

下ごしらえさえしてしまえばあとは簡単にできあがるので、ぜひお試しください。
・・・芋煮愛好家の方にとってみれば、やはり、なにを今さら、なのですが。

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