ゆったり作る。SNSで話題の「蘇」
このところ新型コロナウィルスの影響で、SNSでは「ステイホーム」や「おうち時間」というワードが多く見られるようになりました。テレワークの導入や外出を控えることを推奨される中、さまざまなイベントが自粛となり、私自身も気分が落ち込むこともありましたが、家にいる時間が長くなった今、何か新しいことを試してみたいと思ってSNSで調べていたところ、目に留まったのが「蘇作り」でした。
「蘇」とは牛乳をひたすら煮詰めて作る、古代に食べられていたチーズのような食べ物だったらしいということは、小学校の頃に授業で習った覚えがあります。
元々、一斉休校で余ってしまった給食の牛乳を上手く活用するためのアイデアとして話題になり、多くの人が家で過ごす時間を活用してチャレンジしているようです。
調べてみるとなかなか根気のいる作業ですが、昔自分も興味を持ったことのある「蘇」とはどんな味なのか気になります。
せっかくの家にいる時間を少し楽しくするために、チャレンジしてみることにしました。
昔は”平安貴族の食べ物”
牛乳の水分を飛ばして凝縮し、栄養がたっぷり詰まっているとされ、かつては薬としても使われていたようですが、牛乳も火もとても貴重なものだったため、平安貴族しか口にすることができなかったそうです。
あまり文献などが残っておらず作り方は諸説ありますが、「牛乳を煮詰める」ということだけは共通していることのようです。
材料は1つだけ
必要な材料は牛乳だけ。
何も複雑な作業はないのですが、ただただ時間がかかります。
2時間近くフライパンを火にかけながら混ぜ続けなければならないので、確かにかなりの根気が必要です。
そこで見つけたのがホットプレートを使った作り方でした。
これならなんとか1時間ほどで作れるようなので、この方法で試してみることにしました。
ホットプレートは一定温度を保ちながらより広い面で熱を伝えてくれるので、時間を短縮することができるのです。
牛乳を注いだらホットプレートを100~130℃くらいに設定します。
しばらくしてプレートの周りがふつふつとし始めたら、ゴムべらでこそげ取るようにし、底の方までまんべんなく混ぜていきます。
さらにしばらくすると、膜ができ始めるのでこれも混ぜ合わせ、ひたすらこれを繰り返します。
40分ほど経つとだいぶ牛乳のかさが減ってきます。
50分ほど経つとさらに牛乳が少なくなり、とろとろになっていきます。
60分経つとしっかりまとまってきます。
あまり長い時間火にかけすぎると水分が飛び過ぎてボソボソになってしまうので、柔らかいクッキー生地くらいの固さで火を止めてOKです。
この状態になったらラップで包み、冷蔵庫で1時間ほど冷やし固めて完成です。
今回はホットプレートの大きさに合わせて500mlの牛乳で試したところ、固形石鹸1つ分くらい(約98g)の蘇が出来上がりました。
牛乳のかさが減ってくるほどかき混ぜる間隔が短くなってくるので意外と忙しいですが、混ぜ続けているうちに牛乳にもったりした手応えが出てくるのでどんどん楽しくなってきます。
食べ方はいろいろ
見た目からポソポソした食感と」想像したのですが、食べてみると逆に食感はなめらかで、味は砂糖も入れていないのに甘みがあってお菓子に近い感じがしました。
そのまま食べるとお菓子のような素朴な甘さですが、「オリーブオイル&塩」をかけるとチーズに近くなって、一気にお酒にも合う風味になり、私はこの食べ方が一番好きでした。
他にもはちみつやジャムなど甘いものと合わせると「蘇」の塩気が引き立ち、ほどよい甘さのスイーツになったり、さらにトースターで1~2分ほど軽く焼くとサクッとした食感に変わり、また違った味わいを楽しむことができます。
家にいるからこそ
今回は「蘇」という時間がかかる料理にチャレンジしてみましたが、本を読んだり掃除したり、家にいるからこそできることを見つけて、できるだけ充実させていきたいと思います。