水素水について -毎日飲む水として大切なこと-
「体にいい」という理由から水素水がブームになっています。
この水素水は、名称を変えただけで、実はもっと以前に話題になった「酸化還元水」や「アルカリイオン水」と同様のものです。水素水は本当に体にいいのでしょうか。
今回は、わたしたちが日々飲んでいる水について考えてみたいと思っています。
効能をうたう水素水
ここ数年、水素水が話題になっています。
ボトル入り水素水や、コップにスティック状の水素発生材を入れるタイプ、水素水生成器と呼ばれる据え置き型の機械など、いろいろな商品が売られています。家電量販店に行っても水素水コーナーが目を引きます。一時期テレビで紹介されたり、芸能人が使っていたりして、ブームに拍車がかかりました。
名前を変えて同じものが売られている
水素水は、なぜ注目されるようになったのでしょうか。「活性酸素を除去する」「病気が治る」などの効果効能をうたい文句にしていることが、大きな理由のひとつだったと思います。
しかし、水素水は目新しいものではありません。水素水生成器でできた水は、10年ぐらい前までは「酸化還元水」という名前で売られていました。もっと以前は、同じ生成器を「アルカリイオン整水器」と呼んでいた時代もありました。このことはあまり知られていません。
このように、「アルカリイオン水」のブームが去ったら「酸化還元水」と呼び、「酸化還元水」のブームが去ったら「水素水」と名前を変えたような印象を受けます。
水素水の作り方
そもそも水素水とは、文字通り水素を多く含んだ水ということになります。一般的には、水素ガスそのものを加圧して水に加えたり、マグネシウムを水に入れて化学反応を起こして水素を発生させたり、水を電気分解して水素の量を人工的に増やしたりして作ります。
ボトルやアルミパックに入って売っている水素水は、ガスを加えて作っているものが多いです。スティックタイプは、マグネシウムなどで作られています。また据え置き型の水素水生成器は、水道と直結したり水道水をピッチャーに入れたりする形状で、水道水を電気分解して水素を発生させるものが主流です。
このように、水素水は水に何らかの手を加えて人工的に作り出されているものです。
水素水が体にいいことを証明する十分なデータはないそうです(国民生活センター調べ)
2016年12月、独立行政法人国民生活センターが水素水を調査して報告しています。
調査によると
- 水素の含有量が、メーカーが謳っている数値より低い商品があった
- 水素そのものが入っていない商品があった
また「様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化する」などの、法律に触れる可能性のある広告宣伝をしているメーカーが多くあることなども指摘しています。この調査自体は、水素の入った水自体が体にいいのか悪いのかを調べたものではありませんが、今の段階でそれを証明するデータなどは見当たらないそうです。
「俗に、『活性酸素を除去する』『がんを予防する』『ダイエット効果がある』などと言われているが、ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない。(国民生活センター)」
参考文献:報道発表資料 平成28年12月15日 独立行政法人国民生活センター 容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です
人間の体の70%以上は水分です
人間の体の70%以上は水分でできています。赤ちゃんは80%以上といわれています。また一日3リットル以上の水分が飲み水や食べ物から体の中に入ってきて、3リットル以上の水分が尿や汗として体の外に出ていきます。考えてみれば、日々新しい水が体の中を循環しているわけです。水が私たちの生命を支えているといっても過言ではないと思います。
自然に限りなく近い水であることが大切
そもそも水はお薬ではありません。人工的に水に水素を加えて、体にいい水を作るのは、お薬のような発想だと感じます。日々飲む水に、効果効能を求めるのは正しいことなのでしょうか。体には自然に近い水がいいはずです。とくに子供たちには、人工的なお水を飲ませたくありません。
これはあくまでも私の考えですが、日々飲むお水は、まずは飲んでも健康を壊さない安全な水であること、天然の水のように自然のミネラルが含まれている水であること、そして人工的に機能を加えられていない、自然に限りなく近い水であることが大切だと思います。
執筆者:マルチピュア代表 髙橋 洋光