
新米をたのしみたい 3
新米を楽しむための準備として、前々回、前回と炊飯の炊き比べをしてきました。炊飯機との比較、土鍋の形状や水分量など調整していくうち、土鍋を使っての炊飯にもいくらか慣れて、コツをつかみつつあります。前回、前々回はそれぞれこちらから。
<新米をたのしみたい 2(中編)>
炊飯機と比べると浸水や蒸らしの管理などに一定の手間はかかるものの、うまくいった時の炊き上がりはやはり格別で、実際のところ、日常的にも時間があるときは努めて炊飯に土鍋を使うようになりました。
そこで今回はいよいよお米の食べ比べです。
●3種の特徴的なお米の銘柄

よく知ったものから初めて見るものまでたくさんの銘柄が並んでいたお米屋さんで、食べ比べをしていみたい旨をお伝えし、3つの特徴的な銘柄を選んでいただきました。

ひとつめは
茨城県産清久島のミルキークィーン
ミルキークィーンはコシヒカリから生まれた突然変異種で、アミロースというデンプン質が少ないためモチモチとした食感で冷めても硬くなりにくいという特徴を持っているそうです。
ふたつめは
長野県産の木島平米(コシヒカリ)
北信州、北信五岳のふもと木島平は山々に囲まれているため昼夜の温度差や山からの豊かな水源など米の栽培に適した土地で、昔から知る人ぞ知るお米の名産地なのだそうです。
最後は
岐阜県産の龍の瞳
コシヒカリの1.5倍サイズの大粒で粘り、香り、甘味、歯ごたえに優れているブランド米です。写真ではわかりにくいかもしれませんが、明らかに他の2種に比べて粒の大きいお米です。

どの銘柄も減農薬や減化学肥料などをはじめとして栽培方法にこだわった特別栽培米で、おいしさ間違いなし!といった威厳のようなものが既にそれぞれからプンプンと漂ってきます。

そうなると重要なのは炊飯方法ですが、前回と同様に炊飯専用の土鍋を使って、1合を水210ml、浸水時間は1時間、中火程度で火にかけて泡が立ってから3〜4分程度で火を止め、15分蒸らしました。
ただひとつ、龍の瞳だけはもともとお米の水分含有量が多いらしく、炊き方についてのコツが書かれていたため、それにならって研ぎを軽めにし、水を195ml、浸水時間なし、としました。
安易に素人採点する無粋は避け、それぞれの銘柄の特徴をできるかぎり感じとれるよう、炊いた順番にお茶碗に軽く一杯づつ丁寧に味わっていきます。
ちなみに今回合わせたおかずはマグロの漬け、昆布の佃煮、お漬物に味噌汁とマカロニサラダにかぶの煮物。いつも以上に蒸らし時間が待ち遠しかったです。

さて、まず炊き上がってきたのは
茨城県産のミルキークィーン
我が家の土鍋炊飯史上、ほぼ最高と言っていい炊き上がり。おこげの香ばしさとお米自体の香りがちょうどよく混ざりあい、否応なしに食欲を刺激します。

生産者の方ほか携わった方々、大地の恵みに感謝しつつ、実食。
お米一粒一粒がわかる、いわゆる”おこわ“と”ごはん“のハイブリッドのような食感で粘りがとても強く、風味も強い。率直に言って感動的なおいしさ。ごはんだけでどんどん箸が進みました。冷めた状態のごはんは今回確認できませんでしたが、おにぎりなどにも非常によく合いそうです。
続いては
長野県産の木島平米(コシヒカリ)
こちらもよく炊けました。

粒立ちとてもよく、粘りとさらさら感のバランスが絶妙。今回は和食寄りのおかずでしたが、洋食にもとても合いそう。このところ食べていたごはんが新潟の高地米(コシヒカリ)だったこともあり、食べ慣れた食感や味にこれぞおいしいごはん、といった安心感を感じました。
また、この木島平米は残りを炊飯機で保温しておいて、翌朝にも朝食としていただいたのですが、変わらぬ粒立ちとより粘りを感じる食感でひときわおいしかったです。
最後は
岐阜県産の龍の瞳
炊き上がりでもわかる米の一粒一粒の大きさ。

この大きな粒は食感がとてもよかったです。お米の味も強く感じました。惜しむらくは若干芯の残る粒を感じたところで、おそらく我が家の環境で土鍋の場合は多少なりとも浸水時間を設けた方がよさそうです。
(後日再チャレンジということで浸水時間を30分とって同条件で炊飯したところ、とてもふっくらとした炊き上がりとなりました。お米自体のポテンシャルを引き出すにはやはり微調整がポイントのようです。)
そんなわけでどの銘柄も非常においしく、さらにそれぞれの特徴も際立っていました。
気がつけばお茶碗三杯をペロリといただいてしまったあたり、案の定甲乙は付け難く、それでもあえてそれぞれの違いをまとめるなら、白米中心の和食はミルキークィーン、オールマイティーかつ翌朝もハイクオリティーな木島平米、炊き方によってさらに大化けしそうな龍の瞳、といったところでしょうか。
総じて、使う水から銘柄、炊き方に自分なりのこだわりを持っていただくごはんは、おかずと同等以上に食卓をずいぶんと豊かにしてくれるものであることが今回わかりました。
年が明けて表記的にはいわゆる”新米“ではなくなりましたが、これを機にまだ見ぬ各地の銘柄を今後もいろいろ味わってみようと思います。
実際は気軽にできる、土鍋でおいしいごはん、ぜひお試しください。
ただし、食べ比べの際にはくれぐれも食べ過ぎにご注意を。