【素敵なお店へ】手づくりプリン屋さん POPOCATE(代々木上原・代々木八幡)
代々木の手づくりプリン屋「POPOCATE」(ポポカテ)
代々木上原と代々木八幡を結ぶ地蔵通りの中間あたり、手づくりの看板を目印に路地をまがると見えてくるのが、プリン屋さんPOPOCATE(ポポカテ)です。
階段をあがって出窓を開けると、にっこりスマイルのプリンたちが出迎えてくれました。
POPOCATEは、2015年にオープンしたプリン専門店。人気のプリンには、かわいいだけじゃない秘密がありそうです。
POPOCATEのオーナー、長岡義彦さんにおはなしをうかがいました。
お母さんがつくる素朴なおやつ
―POPOCCATEをオープンしたきっかけを教えてください。
とっても単純ですよ、「プリンが好きだから。」
プリンって派手なおやつじゃないけど、いろんなケーキより好きなんです。昔から母がよくつくってくれて。かためで、カラメルも苦くて、逆さにしたらスが入っているようなプリンだったけど、おいしかった。いまでも、どのケーキ屋さんに行っても、まずそこのプリンを食べたくなるくらい好きですね。
先にあったのは一軒家
昔からプリンが大好きだったけど、オープンの直接のきっかけは、物件としてこのお店の建物を紹介されたこと。いまやっている仕事のほかに、ゼロから新しいものをつくりあげたいと前から思っていたところに、その話がきたんです。
もともと建売住宅だったこの建物で「なにができるかな?」って考えて、出窓に階段をつけたらおもしろいかたちになるんじゃないかなと思って。「やるならなにがいい?」って自分に問いかけたら、最初に出たのが「プリン」だったんです。
そこから、一緒にお店をやってくれるプリン好きを募って、実現に向けて動きだしました。
こんなふうに出窓から注文してテイクアウトできます。外にはテラス席も。
たまごかけごはんにしても最高です
―プリンの材料にとてもこだわっていらっしゃいますよね。
はい、プリンに合うたまごや牛乳を探すのには苦労しました。
たまごは養鶏所を30軒くらいまわって、いろいろ試しました。おいしいものもあったけど、火を入れると色が抜けたり、硫黄みたいなにおいがでてしまったり。
そんななか、ある養鶏所の親父さんに、「自信があるから、ひと箱タダでやる」と言われたたまごでプリンをつくったら、火を入れても色が落ちないし、くさみも出ない。
それが今、POPOCATEのプリンに使っているたまごです。
これはたまごかけごはんにしても最高ですよ。
左:こだわりのたまご 右:「ひどいでしょ」と言いながら見せてくれたのは、いちばん最初の試作プリンの画像
もともとぼくらはお菓子屋ではない
―プリンづくりも大変でしたか。
初めはキッチンスタジオを借りて、店ができても3ヶ月オープンしないでずっと閉じこもってつくっていました。たまごと牛乳、砂糖とバニラビーンズの分量を微妙に変えながら、オーブンの温度と時間の調節をくりかえしました。
もともとぼくらはお菓子屋ではないから、料理の化学を分かっていないところからのスタート。本を読んだり、パティシエに習ったりしながら悪戦苦闘しました。でも、やる以上は、ほんもののおいしいものをつくりたくて。見た目のかわいさでプリンを買ったお客さんがいても、次はおいしさで戻ってきてほしかったから。
試行錯誤の甲斐あってか、実はPOPOCATEのプリンは、素人だからこそ考えついた方法がレシピにも生かされているんですよ。
カラメルをつくる長岡さん
ていねいに注ぎます
こだわりのプリンを食べ比べ
――たくさんの試行錯誤を経て完成したPOPOCATEのプリン。定番プリンは、「かた」と「やわ」の2種類。せっかくの機会なので食べくらべをさせていただきました。
まずはかための「POPOかた」をいただきます!――
「POPOかた」
―「POPOかた」は、プルッとしたほどよい弾力があって、あと味もさっぱりしています。
たまごと牛乳がちょうどよく溶けあって、ほんのり甘くてとてもおいしい…!
POPOCATEのプリンは生クリームをあえて使っていないんです。その分、素直にたまごや牛乳の味を楽しめます。
「もう1個食べたいなー」と思うくらい、手作りのカラメルとあわせるとちょうどいいくらいの甘さにしました。カロリーも普通のプリンより低いですよ。
――次は「POPOやわ」をいただきます!――
「POPOやわ」
―わ、こっちの食感はとろとろですね!ほんのすこしだけ甘みも増したような…。個人的にはこちらが好きかもしれません。
POPOCATEメンバーでも好みは分かれるんですよ。ちなみに僕は「かた」が好きです。
――どちらも食べ比べてみると楽しいですね!
他の種類もたくさん
―POPOCATEには、定番プリンの他にもいろんな味のプリンがありますね。
はい、「ティー」「カフェ」「チーズ」「ソイ」「チョコ」「抹茶」です。どれも材料にこだわっています。
―抹茶は最近仲間入りしたのですよね。
抹茶プリンづくりはとくに大変でした。分離させないことと、きれいな色をだすのがむずかしくて、完成まで半年かかりました。
使う抹茶はいろいろ試して、京都の一保堂茶舗さんの抹茶にいきつきました。これに、ほどよい甘さの十勝の小豆がよく合うんです。
ひとつひとつの完成度を正直に
―材料もレシピも、とても吟味して作られているのですね。
POPOCATEでは、衛生面や接客はもちろんですが、「ひとつひとつの完成度を正直にだしましょう」ということを大事にしています。僕らはお菓子づくりのプロじゃないけれど、とにかく手作りにこだわっていい製品をお客さまに届けたいと思っています。
―お客さまの反応はいかがですか。
やっぱり「おいしい」「また来ました」といわれるとやっていてよかったと思います。
テラス席で食べたお客さまが、ふせんや紙ナプキンにちょっとした手紙を書いて置いていってくれたりするのも、うれしいですね。
――POPOCATEのプリンを食べると、ほんのりとした甘さに気持ちがゆるんで、ほっとするような、しあわせな気分になります。
それは、そのままでもおいしい材料を活かした素直でやさしい味わいだから。そしてきっと、お母さんが家族に思うのにも似た「おいしいものを食べてほしい」という誠実な気持ちや情熱でつくられているからかもしれません。
今後、プリンを中心にほかのお菓子にも挑戦したいとおはなししてくれた長岡さん。
POPOCATEのあたらしいおいしさに出会えると思うと、今からとても待ち遠しいです!
POPOCATE
【営業時間】12:00~19:00(日祝 11:00~18:00)
【定休日】月曜日
【住所】〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町23-4
【TEL&FAX】03-5738-8533
【アクセス】
小田急線 代々木八幡駅より徒歩5分
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小田急線 代々木上原駅より徒歩8分